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国内MBAは意味ない?私が早稲田のMBAを修了して実際に感じたこと

国内MBAは本当に意味がないのか?これは、MBA取得を考えている人なら誰もが気になるポイントだと思います。私自身、仕事を続けながら早稲田大学MBAを修了しましたが、その価値については正直なところ「人による」と感じました。

MBAを取ることで得られるスキルや人脈は確かに魅力的ですが、すべての人にとって有益とは限りません。 自分の期待と現実のギャップをしっかり理解し、戦略的に活用できるかどうかがカギになります。

この記事では、私の実体験を交えながら、国内MBAのリアルな価値と、向いている人・向かない人の特徴を詳しく解説します!

この記事を書いた人
・30歳からリスキリング
・会社員(法人営業→経営企画)
・中小企業診断士(2021年登録)
・早稲田MBA(2024年修了)

目次

早稲田MBAを選んだ理由と期待した価値

私が早稲田MBAを選んだのは、「実践とアカデミックな学びのバランス」と「強力なネットワーク」を期待していたからです。もちろん、仕事をしながらでも学べる夜間コースが整っているのは必須条件でした。

仕事を続けながら学べる夜間・週末プログラム

平日は18:30から、休日は午前午後とプログラムがあることは、仕事を続けながら学ぶための必須条件です。

多様な業界の人と対面で交流し、幅広い気づきを得られる

会社員として勤めるなかで、わたしはだんだん世の中の常識なのか、自社特有の常識なのかが分からなくなってきていました。また学生時代の友人と真剣にビジネスについて話す機会をもつことも難しいと感じていました。所属している会社や、取引先などの関係先を離れ、いろいろな業界の人がどのように考え、どのように悩んでいるのかを知り、自分の世界を広げたいと考えました。そのため私は、とにかくたくさんの業界の方と、オンラインではなく、直接会い交流したいと考えました。
その点では、早稲田MBAはあらゆる業界、職種から、成長を求める人材が集まっているため、まさに私の要望を満たす選択肢だったのです。(例えば、私が入学した際の同級生では業界で言えば食品、車、医療、医薬、商社、広告、銀行、証券、保険など、職種で言えばマーケター、営業職、経営企画、リスク管理、財務経理など。また弁護士や医者、公認会計士などの専門職もいらっしゃいました)

実践とアカデミックな学びのバランス

早稲田を選んだ最も大きな理由は、この実務家と研究者の双方から学びが得られる環境があったことです。早稲田には実務家の教授と、研究者の教授がおよそ半々所属されており、どちらもその道の一流の方がいらっしゃいます。
入学前に私が漠然と持っていた印象は「実務家はリアリティがある一方、その人の成功体験談であり、自分の状況に応用することには工夫が必要」、「研究者は幅広い事例を観察し一般化につとめている一方で、相対的にリアリティに欠けるのではないか」というものでした。しかし実際には実務家は一般化に努め、研究者はリアリティのある原理原則を追求しており、私の心配は杞憂に終わりました。結果として私は2年目のゼミでは戦略・組織論研究の教授のゼミに所属させていただきましたが、自分の仕事に応用すべき数多くの気づき・学びの機会をいただきました。
とにかくいろいろな立場の方のお話を聞きながら、自分が一番吸収したいと思える教授をさまざまな実務家、研究者で構成される教授陣から選べるのは早稲田の魅力であると思います。

実際に学んで得たこととギャップ

MBAの授業は想像以上にハードでした。理論だけではなく、ケーススタディやディスカッションが中心で、「知識を得るだけでなく、それをどう活用するか?」を常に考えさせられる環境でした。

✅ 得たもの

📌 実践的なケーススタディでビジネスの意思決定プロセスを学べた

理論的な学びのみで終わる講義は少なく、実際の企業が過去に経験したケースをもとに、どのような意思決定がありえたかについて議論を行うケーススタディを用いる講義が多かったです。ケーススタディといっても、講義前に課題が与えれたうえで、各受講者が事前に意思決定内容や分析を資料にまとめて提出するスタイルのものもあれば、当日即興でディスカッションを行うスタイルのものなど様々なスタイルのものがありますが、共通するのは実際の企業がおかれていた状況をもとに、仮想の意思決定を行う体験を経験することです。あくまでバーチャルな体験ですが、意思決定の場数を疑似的にでも増やすことは、大きな力になると実感できました。

📌 ディスカッションを通じて、多角的な視点を養えた

ケーススタディを通じ、受講生通しでグループディスカッションを行うこともあります。協力をして一つの課題に取り組むこともあれば、ディベート形式でのディスカッションを行う講義もありました。例えば倒産寸前の企業のケーススタディについて、銀行、株主、経営者のそれぞれの立場に立って議論を行うといった興味深い講義などもありました。このようなディスカッションでは、参加している受講生がどのような経歴や能力を持っているのかによって、自分の想像の範囲を超えた多角的な視点(銀行員はこう考えるのかぁ、マーケターはここに注目するのかぁなどなど)を得られます。

📌 ファイナンスやマーケティングなど、ビジネスの基礎スキルを強化できた

もちろんケースステディ形式の講義も、議論を行う上で重要となる知識や基礎スキルの講義とセットになっています。その議論を行う上では、かならず知っておかなければいけない重要な論点を学んでからディスカッションをすることになります。
早稲田の夜間主総合コースは、必須科目の設定が網羅的にされているため、ビジネスに必要な基礎スキルを復習、強化することができます。

❌ 感じたギャップ

⚠️ 必ずしもキャリアアップに直結するわけではない

MBAホルダーになれば自動的にキャリアアップが実現するわけではありません。ご連絡をいただいた転職スカウトの方にお話をお伺いした時には、「MBA」という経歴で検索をするよりも、必要とする能力(たとえば「経営管理」「制度設計」など)で検索することの方が多いとお聞きしました。MBAホルダーがプラスの評価となる場合はもちろんあると思いますが、「MBAホルダー」というだけでキャリアアップとなるお声がけがかかることは少ないと思います。

⚠️ 「MBAホルダー」という肩書きだけでは評価されない

転職のみならず、社内でも「MBAホルダー」という肩書だけで評価されるわけではありません。「MBAホルダー」と公言することは、周囲の期待値を上げるため、少なくともその期待値以上のパフォーマンスを出す必要があります。この期待値を下回れば、”MBAホルダーのくせに”という評価を受けることになる恐れもあります。
心配せずとも真剣に2年間という時間を学びにかければ、あなたのパフォーマンスを絶対に引き上げますので、たいていの場合は「MBAホルダーのくせに」という評価を受けることにはならないと思いますので安心してください。)

⚠️ 仕事と学業の両立は想像以上に大変だった

仕事と学業の両立は”想像以上に”大変でした。なぜなら私は、入学する前の段階では講義時間がどの程度かは知っていたものの、講義のための準備時間がどのくらい必要かを認識していなかったからです。1講義は、基本2コマ連続で約3時間なのですが、講義によって必要な事前準備時間はまちまちなで、少ないものは1時間、多いものは6-7時間ほどの事前準備時間が必要でした。私の場合、興味深く学びになりそうと感じた講義ほど、必要事前準備時間が長い傾向にあったこともあり、平均的に見れば講義時間とほぼ同じくらいの事前準備時間を使っていました。
 仕事との両立については、とにかく周囲にMBA通学していることをご理解していただき、講義がある日には定時過ぎで退社、その代わり講義がない日は残業を行うという対応を行っていました。ただし上述の通り、講義がない日にも事前準備を行う必要があるため、結果的には残業・退社後に翌日の講義の事前課題をこなす生活をしていました。
 結果として、平日は講義がある日もない日も、平均して25時ごろまでMBA関連の研鑽をする生活になっていました。このように聞くと、”絶対無理”と思われる方も多いと思いますが、私は自分の興味ある分野について学んでいること、また同級生が同じ境遇の会社員が多いこともあり、大変だけど有意義なやりがいを常に感じることで、乗り越えられました。
 とはいえ会社の同僚・上司部下や、家族の理解・応援が不可欠になるため、十分に説明・説得する必要があるのは間違いないかと思います。

国内MBAが向いている人と向かない人

これまでの内容をふまえ、国内MBAに向いている人、向かない人の特徴を簡単に整理してみました!

✅ 向いている人

  • スキルアップや人脈形成を重視する人
  • 経営視点を身につけたいと考えている人
  • 学んだことをすぐに実務で活かせる環境がある人

❌ 向いていない人

  • 「MBAを取れば自動的に昇進できる」と考えている人
  • 専門職でキャリアを極めたい人(エンジニア・研究職など)
  • 学位のブランド力だけで市場価値を上げようとしている人

前述の通り、MBAホルダーという肩書だけでは自分の価値を高めることはできません。「MBAさえとっていれば」というような考えの方は実際には少なく、能動的に学び、成長する意欲があるかたが集まっていますので、自然と切磋琢磨することになり、MBAはあなたの価値を高めてくれるはずです。そのため大学院に入れれば、積極的に努力をしなくても自分の価値が高まる(高めてもらえれる)と考えている人は注意が必要です。

⚠️ 国内MBAが「意味ない」と言われる3つの理由

国内MBAが「意味ない」と言われる理由は、下記のようなものだと思います。

1.海外MBAと比較してブランド価値が低い

国内MBAは、海外のトップスクール(ハーバード、スタンフォード、INSEADなど)と比べると、国際的なブランド価値が低いと言われがちです。企業の採用担当者や投資家から見ても、海外MBAの方がグローバルなネットワークや実践的なビジネススキルを持っていると認識されることが多いためです。その結果、海外MBA取得者と比較され、評価が低くなるケースもあります。
ただ最近では、国内MBAも国際認証を取得しておりブランド価値の差は徐々に少なくなっていると思います。

2.MBAは「なんでもできる」と思われやすい(できないと悪目立ちする)

MBAホルダーは「経営のプロ」というイメージを持たれがちですが、実際にはMBAで学ぶ内容は幅広く、実務で成果を出すには個々の経験や能力が問われます。しかし、「MBAを持っているのにこれができないの?」と過度な期待をされることがあり、そのギャップが悪目立ちすることも少なくありません。特に、専門性の高い業界では「MBAよりも現場経験の方が重要」とされることが多く、MBAが直接的な強みにならない場合もあります。
すこし前向きにとらえれば、期待値が高まることで、チャレンジする機会がより多く回ってきます。

3.キャリアアップに直結しないケースがある

MBA取得が必ずしもキャリアアップにつながるとは限りません。日本企業では、MBAホルダーを優遇する文化が欧米ほど強くなく、昇進や転職の決定要因として「実績」や「人脈」がより重視される傾向にあります。そのため、「MBAを取ったのに給与が上がらない」「希望のポジションに就けない」といったケースも珍しくありません。特に、企業が求めるスキルセットとMBAで学ぶ内容が一致していない場合、MBAが直接的なメリットにならないこともあります。


🔑 国内MBA取得で後悔しないための5つのコツ

1️⃣ 目的を明確にする

MBAを「なぜ取りたいのか?」を明確にしないと後悔します。
なんとなく「賢くなる」ことや、「MBAの肩書」を求めていると、もし仮に合格できたとしても、2年間という時間が苦行に感じてしまうはずです。

ちなみに私がMBAを取得しようと考えた目的は主に2つありました。一つ目は、自分が所属している会社を今まで以上に成長させるためにはどのような戦略・組織にすればよいかを考える力が欲しかったことです。そして二つ目は、自らが経営に必要な要素を網羅的に理解する”経営人材候補”となり、将来、より実践的な経営にかかわる業務に携わりたいと考えたことです。

2️⃣ 費用対効果を事前に計算する

MBAは決して安い投資ではありません。国内MBAの学費は数百万円に及ぶことが一般的であり、さらに通学・学習にかける時間もかなり大きくなります。そのため、「この”投資”が将来的にどのようなリターンを生むのか?」を冷静に分析することが重要です。

費用対効果を考える際には、以下のような視点を持つと良いでしょう。

  • 学費の回収期間:MBA取得によって給与がどのくらい上がるのか?何年で学費を回収できるのか?
  • キャリアアップの可能性:MBAを取得することで、より責任のあるポジションへの昇進や転職のチャンスが広がるか?
  • 時間の価値:早い段階で経営や戦略の知識を身につければ、その後のキャリアで活躍できる期間が長くなり、より多くの機会を得られる可能性が高まる。

特に、「時間の価値」は見落とされがちですが、必要性を感じたらなるべく早いタイミングでMBAを習得すれば、取得後の成長スピードは加速し、長期的なキャリアの選択肢も広がります

このように、単純に学費の高い・安いだけで判断するのではなく、MBAがどのタイミングでどのような形で自身のキャリアにプラスに働くのかを考えることが、後悔しないためのポイントです。

3️⃣ 学びを実務に活かす意識を持つ

MBAの授業は、ケーススタディや理論を学びますが、どちらも実務に活かしてこそ意味があります。「学ぶこと」自体に集中しすぎてしまい、実際の業務でどのように活用するかを考えるのを忘れてしまっては、MBAの成果を十分に発揮することはできません。

例えば、戦略論の授業で学んだ観点で自社のサービスの強みと課題を分析する、マーケティングの授業で学んだフレームワークを、自社のサービス分析にすぐに活用する、あるいは組織論で学んだチームマネジメントの理論を、職場でのリーダーシップに活かすなど、学んだ知識をリアルな環境で試すことが大切です。

実務での応用を意識すると、MBAの授業の理解度も深まり、「机上の空論」に終わることなく、実践的なスキルとして身につきます。特に、社会人MBAの場合は、在学中から仕事で試せる環境があるため、学びと実務をセットで考えることが成功のカギになります。

4️⃣ ネットワークを積極的に活用する

MBAの大きな魅力のひとつは、「ネットワーク」ですが、単に同級生と仲良くなるだけでは十分とは言えません。早稲田MBAは人数も多く、文化的にも交流の機会が多いと感じましたが、受け身な姿勢では得られるものは少なくなってしまいます。自ら積極的に動くことで人脈の広がりを得られるようにしましょう

具体的に、どのようにネットワークを活用できるのか?

  • 異業種の人と交流し、視野を広げる
    → 自分の業界の常識を超えたビジネスの考え方を学べる。
  • 将来のビジネスパートナーや顧客を見つける
    → MBAの同級生から、起業のアイデアが生まれたり、転職のチャンスが得られることも。
  • 教授やゲストスピーカーとの関係を築く
    → 業界の第一線で活躍する専門家とのコネクションを作ることで、キャリアの可能性が広がる。

MBAのネットワークは、単なる「友人作り」ではなく、「ビジネスの未来を広げる資産」になります。そのため、受け身ではなく、積極的に関係を構築していく姿勢が大切です。

5️⃣ 取得後のキャリア戦略を事前に考える

MBAを取得するだけでキャリアが自動的に開けるわけではありません。むしろ、「MBAを取ったけど、次に何をすればいいのかわからない…」という状態に陥る人も少なくありません。そのため、「①目的を明確にする」で決めた目的を達成する具体的なキャリアプラン(取得後に何をするのか?)をしっかり考えておくことが大切です。

例えば、以下のようなキャリアプランを持っているかどうかで、MBAの価値が大きく変わります。

  • 社内で昇進を狙う:MBAで得た知識を活かし、より高度な経営ポジションを目指す。
  • 転職をする:MBAでのネットワークを活用し、より魅力的な企業・ポジションに移る。
  • 起業をする:MBAで学んだ経営スキルを活かし、自ら事業を立ち上げる。

MBAを取得すること自体がゴールではなく、その先にどのようなキャリアを築くのかが最も重要です。「MBAを取ったらなんとかなる」ではなく、MBAを「どのように活用するか」を事前に戦略的に考えることが、後悔しないための鍵になります。

(ちなみに、”MBA取得後”にこだわる必要はありません。MBA在学中に転職してキャリアアップするという方もいました!)

国内MBAは意味がないのか?最終結論

国内MBAの価値は、「どう活かすか?」次第です。

  • 学びを実務で活かせる人には大きな武器になる
  • 期待値を間違えると「意味がなかった」と感じてしまう
  • 学ぶだけで終わるのではなく、ネットワークやスキルをどう使うかが重要

私自身も、MBAで得た知識とネットワークを活用したことで、キャリアの可能性を広げることができました。 もしMBA取得を検討しているなら、「何のために取るのか?」を明確にし、最大限活かせる環境を作ることをおすすめします!

  • この記事を書いた人
この記事を書いた人は中小企業診断士の資格を持ち、早稲田のMBAを修了している会社員で、職歴は法人営業と経営企画です。

診断士りょう

中小企業診断士・MBAホルダーの30代会社員。 自身のキャリアへの不安からリスキリングを始め、中小企業診断士とMBAを取得しました。この経験から、皆さんとキャリアアップにつながる情報を共有したいと思い、このウェブサイトを立ち上げました。私の経験や知識を活かして、リスキリングのアドバイスや情報を提供します。皆さんが新たな一歩を踏み出すためのお手伝いができれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

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