中小企業診断士

中小企業診断士 独学最短合格ロードマップ_その1_戦略編【MBA診断士が解説】

「中小企業診断士の資格って、独学で本当に取れるのかな?」

「効率的な勉強方法を知りたいけど、いったいどれを信じたらいいのかわからない」

「合格率が低いって聞いたけど、自分には無理なのかな?」

中小企業診断士の資格取得を目指したいけど、本当に自分に取得できるのかと不安に思う方がたくさんいると思います。独学での勉強は不安がいっぱいですよね。

この記事では、中小企業診断士の資格概要から、独学の勉強方法、必要な教材、そして合格するための具体的なステップ、成功の秘訣を詳しく解説します。この記事を読むことで、効率的な勉強方法がわかり、自信を持って学習に取り組むことができるはずです!

実際に私もこの方法を実践したことで、専門塾に通学せず、働きながら約7か月で合格することができました。また同じノウハウを伝えた後輩も無事一次試験に一発合格することができていますので、ある程度再現性はある方法になっています。

独学でも合格できる方法を知りたい方、効率よく勉強を進めたい方は、ぜひこの記事を読み進めてみてください。

中小企業診断士を独学で合格するための基本情報

中小企業診断士の資格を独学で取得するためには、まず基本情報を押さえることが重要です。

資格の概要や試験の難易度を理解し、独学のメリットとデメリットを把握することで、効率的な学習が可能になります。

  • 中小企業診断士の資格概要
  • 独学のメリットとデメリット
  • 試験の難易度と合格率

中小企業診断士の資格概要

中小企業診断士は、中小企業の経営に関する診断と助言を行う専門家と認められた国家資格です(中小企業支援法第12条第1項(昭和38年度)_経済産業省)。経営戦略、財務、マーケティング、人事管理など、広範な知識が求められます。

試験は1次試験と2次試験に分かれており、1次試験は7科目、2次試験は事例問題です。資格取得・登録後は、コンサルティング業務や企業内の経営企画部門など、さまざまな分野で活躍できます。

独学のメリットとデメリット

独学で中小企業診断士の資格を目指す場合、以下のメリットとデメリットがあります。

メリットデメリット
・自分のペースで学習できる
・費用を抑えられる
・自由な学習スタイルがとれる
・自己管理、習慣化が必要
・情報収集に時間がかかる
・モチベーションの維持が難しい
中小企業診断士を独学で目指す場合のメリット・デメリット

完全な独学に自身がない方は、通信講座などで独学の弱点を補完するなどの方法もお勧めです。
(私も学習の導入として、通信講座を利用しました。)

学習方法の比較や、おすすめの教材についてはいずれ別記事で詳しく紹介したいと思います。

試験の難易度と合格率

中小企業診断士の試験は、他の資格と比べて難易度が高いと言われています。1次試験の合格率は約30%、2次試験の合格率は約20%です。科目ごとに合格ラインが設定されており、すべての科目で基準をクリアする必要があります。

試験区分合格率特徴
1次試験約30%7科目の基礎知識が必要
2次試験約20%事例問題の解答力が求められる

中小企業診断士に独学で”超効率的に”合格するための勉強計画

中小企業診断士の資格を独学で合格するためには、しっかりとした勉強計画が必要です。効果的なスケジュールを立て、必要な勉強時間と期間を見極めることで、効率的に学習を進められます。

  • 最低限必要な勉強量を事前に見極めるずるい”方法
  • 効果的なスケジュールの立て方
  • 必要な勉強時間と期間
  • 計画を守るためのポイント

必要最低限の勉強量を事前に見極める”ずるい”方法

”ずるい”方法とは、「最低限の点数で受かるための勉強に絞って勉強すること」です!

・・・

こう聞いて、「普通じゃねぇか・・・」と思ったそこのあなた。「最低限の点数で受かるための勉強法」についてもう少し説明させてください。

一次試験と二次試験の採点基準は違う!

中小企業診断士試験において、実は一次試験と二次試験の合格基準は異なります。どういうことかというと、下記のような違いがあります。

試験区分科目数回答方法合格点解答基準評価方法
一次試験7科目選択式(4択)420点/700点かつ教科40以上公表される絶対評価
二次試験4科目記述式240点/400点(かつ各教科40点以上)未公表相対評価?

一次試験と二次試験はともに、合計点数が60%以上かつ各科目40点以上となっているため、一見同じ基準に見えるのですが、実は評価方法に大きな違いがあります!

一次試験は基本的に4つの選択肢から選ぶ回答形式で正解が公表される一方で、二次試験は記述式の回答で、かつ模範解答や解答基準が公表されないのです。公表はされていませんが、下記の合格率推移のグラフからも一次試験は60%以上の点数を取れれば合格できる絶対評価であるのに対し、二次試験は上位20%の受験生が合格する相対的評価であることが推測できます。

中小企業診断士試験の一次試験、二次試験の合格率推移の比較グラフ
中小企業診断士試験の一次試験、二次試験の合格率推移の比較グラフ

一次試験をなるべく少ない勉強時間で合格するための”戦略”

一次試験をなるべく少ない勉強時間で受かるための”戦略”を解説します。つまり「何に時間をかけ、何には時間をかけないか」を事前に見極める方法をお伝えします。

科目ごとの分類

一次試験の7科目は大きく分けると「理解(応用系)」「知識(暗記系)」に分類できます。
理解(応用系):経営にかかわる重要な原理・原則。二次試験に応用が利くようにしっかり理解をしておく必要がある科目。
知識(暗記系):経営にかかわる重要な知識。二次試験にはあまり出題されない。

科目名概要分類
経済学・経済政策マクロ経済・ミクロ経済の基本理解(応用系)
財務・会計PL,BS,CFの基本、ファイナンスの基本理解(応用系)
企業経営理論経営戦略の基本理解(応用系)
運営管理工場・店舗のオペレーションの基本理解(応用系)
経営法務法務の基本知識(暗記系)
経営情報システム情報システム・セキュリティの基本知識(暗記系)
中小企業経営・政策中小企業に関する概況と政策の理解知識(暗記系)
コスパよく合格するための得点構成

理解(応用系)は一度理解すれば忘れづらく、安定して高得点を獲得しやすい科目になります。また単純な暗記ではないため、4科目(企業経営理論、運営管理、財務・会計、経済学・経済政策)のうちのどれかには興味がわく受験生も多いと思います。
一方で知識(暗記系)は単純な暗記部分も多いため、一度覚えても時間がたてば忘れやすく記憶の定着には時間がかかります。

そこでおすすめの作戦は「理解(応用系)に時間をかけてしっかりマスターした後に、知識(暗記系)を短期間で詰め込む」です。

具体的には下記のような得点構成を目指して勉強を行うことをお勧めします。

分類科目数目標得点得点
理解(応用系)4科目75点/100点300点/400点
知識(暗記系)3科目50点/100点150点/300点
合計7科目-450点/700点
コスパよく合格するための得点構成


実務上も「理解(応用系)」は忘れてはいけない原理原則であるのに対し、「知識(暗記系)」は重要な概要を覚えていれば、詳細は都度確認すれば問題ありません。(またこの3科目は、法律・システム・政策の変化によって新しいものに更新されていきます)

得点比率の達成方法(超重要)

目標得点50点と聞くと「半分の問題を”覚えている必要がある”のだから結構大変じゃないか!」と思うかもしれません。
でも実は正確には「半分の問題を正解する必要がある」という認識が正解なのです。
下記のような条件は想像しやすいのではないでしょうか?

  • 条件① 4択問題なので、全くわからなくても1/4の確率で正解する。
  • 条件② 知識レベルには「完全にわかる」「まったくわからない」に加えて、2択くらいまでは絞れる「うろ覚え」の状態がある。

このあるあるな条件を前提とすると、実は「完全にわかる」問題が4問中1問で、二択まで絞れる「うろ覚え」問題が4問中2問あれば、理論上約56点をとることが期待できます。(4問に1問は「まったくわからない」でも問題ないのです!

知識レベル正解する確率問題の割合期待値
完全にわかる1/125%(4問中1問は完全にわかる)25点
うろ覚え1/250%(4問中2問は、2択までは絞れる)25点
まったくわからない1/425%(4問中1問は全く分からない)6.25点
100%56.25点
知識(暗記系)科目を50点以上取るために必要な知識レベル

この計算を見れば、「半分覚えている」必要がないことが分かってもらえると思います。

問題を解いてみて、レベル感を確認しよう!

これまでの章で「どのくらいの得点を取れればよいか」をなんとなくイメージできたと思います。
その段階で、1回だけ1次試験と2次試験の過去問にチャレンジしてみてください!
1次試験と2次試験は全くテイストが違うので、まずはそれぞれどのような試験内容なのかを体感するために手始めに下記2点に取り組んでみてください。

おそらく多くの人は「ほとんどわからない」状態になると思いますが、安心して下さいこれまで読んでいただいた必要な得点イメージや、知識レベルをイメージしてもらえれば、必要以上に絶望しなくてもよいことが分かると思います!
(上述までの攻略法は主に1次試験にフォーカスを当てた説明でしたので今後2次試験の勉強法についても解説する予定です)

1次試験体験(とりあえず1科目60分)
自分の一番自信がある(なんだかいけそうな気がする)科目を1つ選び、試験時間と同じ60分で試験を解いて採点してみてください。大切なことは上述のずるい勉強法に記載した通り、正解が分かる(=「完全にわかる」)問題と、2択に絞れる(=「うろ覚え」)問題と、見当がつかない(=「まったくわからない」)問題がどの程度の比率だったかを認識することなので、正解が分かった問題は◎、二択に絞れた問題を△、全くわからない問題を×などのようにチェックしておくとより分かりやすいと思います。

2次試験体験(とりあえず1科目80分)
自分の一番なじみのありそうな科目を1つ選び、試験時間と同じ80分で解いてみてください。問題文は一次試験の知識問題よりも、ストーリーがあり何となく理解できそうな気がする反面、設問の「中小企業診断士としてアドバイスをしなさい」というオープンな問いに面食らって、何を書いたらいいか分からず、とても時間内にマトモな回答が書けない状態になると思います(関連した経験や知識を蓄積された職業の方は書ける方もいるかもしれませんが、私はこんな状態になりました!)

必要な勉強時間と期間

①勉強時間

中小企業診断士の資格取得には、よく「約1000時間の勉強時間が必要」と言われていますが、実際には2次試験までの合格時間は人によって大きく異なります100時間で受かったという人もいれば、5年かかったという人もいます。人によってこれまで蓄積してきた経験や、基礎能力、また向き不向きなどが違うので、当然のことだと思います。

また中小企業診断士の試験は1年に1回しかないため、1回失敗すると次のチャレンジが1年後となることから、1発合格でない方の試験時間は長くなりやすい傾向にあると思います(あとちょっとで合格できたのに惜しくも落ちた人は、1年間追加で勉強するため)

私自身は上述の「必要最低限の勉強量を事前に見極める”ずるい”方法」を実践し、500時間ほど(1次試験対策:300時間+2次試験対策:200時間)の勉強時間で初年度で1発合格できました。しかし正直これよりも少ない時間で合格できたかもしれませんし、逆にもう一度挑んだら落ちているかもしれませんので、500時間というのもあくまで参考でしかありません。
当然受けられる方のこれまでの経験にも大きく影響を受けると思います。参考までに私の診断士試験勉強開始時のスペックを記載しておきますので、一つの参考としていただければ幸いです。

  • 社会人経験:法人営業歴9年。素材商社の営業経験のみ。
  • 知識   :昼は営業・夜は接待or飲み会で自己研鑽はほぼ無し。簿記3級。社会人生活で読んだ本は数冊レベル。
  • 学歴   :浪人で国立大学商学部。大学生活は主にスポーツに時間を費やしていた。

②勉強期間とスケジュール

月にどのくらにの時間を勉強に充てられるかによって準備期間は大きく変わってきます。単純に言えば、「かける勉強時間÷月あたり可能な勉強時間」が必要な準備期間ですが、中小企業診断士試験は年に1回しかないため、少し余裕をもって勉強に着手することをお勧めします。

効果的なスケジュールを立てるためには、まず自分の生活リズムを把握し、無理のない範囲で学習時間を確保することが重要です。例えば、朝の時間帯に勉強することで、一日の始まりに集中して取り組むことができますよね。
また、週ごとに目標を設定し、その進捗を確認することで、モチベーションを維持できます。以下のポイントを押さえたスケジュールを立てると、効率的に学習が進むでしょう。

  • 朝の時間帯を活用する
  • 週ごとに目標を設定する
  • 進捗を定期的に確認する

以上が独学で中小企業診断士試験に合格するためのロードマップ_その1_戦略編になります。
このあとは具体的な勉強方法や、挫折しづらいための習慣化天¥、モチベーション管理の方法など、より具体的な戦術編を紹介させていただこうと思います。ぜひそちらご参考にしていただければ嬉しいです。

皆様リスキリングで、より面白い充実した人生を目指して行きましょう!

  • この記事を書いた人
この記事を書いた人は中小企業診断士の資格を持ち、早稲田のMBAを修了している会社員で、職歴は法人営業と経営企画です。

診断士りょう

中小企業診断士・MBAホルダーの30代会社員。 自身のキャリアへの不安からリスキリングを始め、中小企業診断士とMBAを取得しました。この経験から、皆さんとキャリアアップにつながる情報を共有したいと思い、このウェブサイトを立ち上げました。私の経験や知識を活かして、リスキリングのアドバイスや情報を提供します。皆さんが新たな一歩を踏み出すためのお手伝いができれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

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